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逆転現象

 聞こえる人も、
 聞こえない人も、
 みんな、ボクのことを
   頭がおかしい
 ヘンな人だな~って
 見ているんだ。

ふっと夫が洩らした言葉(手話)だ。

これまで夫から聞いた子供~若い頃の回想話には、
耳が聞こえない、ヘンな声で通じない、手話を使っている・・・と
周囲の聞こえる人たちから、
奇異の目で見られたり、馬鹿にされたり、見下されたりした話が
よく出てくる。
実際そういうことが多かったんだろうなと思う。

しかし、最近では、
「聞こえない人まで、ボクのことを、頭のおかしい、ヘンな人だと見ている」
と、夫は感じている。

今までは、手話の判らない人(聞こえる人)からは、
自分が手話で話していることがわかってもらえず、
奇異の目で見られていたけれども、
今では、手話の判る人(聞こえない人)からも、
ヘンなことを言うヤツだ、頭がおかしいんじゃない?
という目で見られている、と。

夫は短期記憶ばかりか、長期記憶も失って、
今の世の世間話ばかりか、
昔懐かしい人や思い出についてすら
話せなくなった。

でも、手話で話すこと自体は失われていない。
ただ、話す内容が、この世に接点を持たない
とっぴょうしもないことばかり。

毎日一緒に暮らしている妻である私ですら
なんと応答してよいのかわからず、
困惑してしまう話のオンパレード。

えっ? どういうこと? 何の話?

怪訝な表情で返されることばかりなのだろう。
私自身もきっと
「あなたの言っていることはわからないわ」
という表情で返すことが多いのだと思う。

夫の話に合わせてあげたいと思っても、
どう相づちを打ったらよいのかわからないようなシュールな内容。
テキトーに、うん、うん、言って、つい右から左へ受け流してしまう。

真面目に話を受け止めようと思うと、
「え? 何? それって、どういう意味?」
と問い詰めるような形になってしまうから、
それを避けるためには仕方がない。

そんな周りの様子から、
周りの人たちが自分に対してどのような感情を持って接しているのか、
夫は鋭く感じ取っているのだ。

今日、夫の友人4人が我が家へ遊びに来てくれた。
来宅したその中には認知症の人も居た。
一人ではここまで来れないので、介添えしてくれる人と一緒に。
久し振りにあった懐かしい友人たち・・・のハズだが、
夫だけが話の輪に入ることができない。

その認知症の友人は、話したことをすぐに忘れてしまうのだが、
具体的な友人の名前を挙げて消息を確認しあったり、
普通の会話をすることができる。

対して、夫は、旧くからの友人たちの名前も忘れている。

さらに、夫の右眼はほとんど見えず、左眼も視野が狭く、
二人の人間が手話で会話をしているのを横から読み取るには
広い視野でもって、二人の手話を同時に見ていなければならないので、全然ムリ。
目の前での二人の会話を読み取ることができない。
視野だけでなく、記憶や集中力にも問題あり。

今まで夫は、聞こえる人の中で疎外感を味わっても、
同じ聞こえない仲間の中にいる時には、
自由に伸び伸びと手話で会話を楽しむことができていた。

ところが、今は、同じ耳の聞こえない人達の中に居て、
手話の花がさかんに咲いている中に、
一人ぽつんと黙って座っている。

今日、そんな夫の様子を見て、
なんだか辛くなってしまった。

でも、最近、
手話のわからない人たちの中に居る時には、
夫は自分の世界(他人はそれを「妄想」と言うが・・・)にどっぷりと浸って、
自由に伸び伸びと手話で話しまくるという
逆転現象が見られるようになった。

周りは手話が判らないので、
夫が自分の世界のとっぴょうしもない話をしたところで、
怪訝な表情を返されたりしないから・・・なのかもしれない。

♪。゚o。(★・ω・)人(・ω・★)。o゚。♪。゚o。(★・ω・)人(・ω・★)。o゚。♪

一昨日から私は風邪をひいてしまった。
夫にうつしてしまったのではないかと心配で
ソファに座っている夫に
「体調はどう? 寒くない?
 のどが痛かったりしないかな?
 あのね、
 私、風邪をひいちゃったの。」
と言ったら、
夫は自分の膝の上にかけていたブランケットをはずして
私に渡そうとした。

やさしい人です。

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コメント

No title

ご主人、優しい方ですね。
読んでいて涙が出てきてしまいました。

認知症になった家族との日常は
少しずつ状況が変化し一つずつ受け入れていく…


私も夫婦介護ですので分かりますが
訳が分からない話の時はこちらも少し悲しくなります。
でも、まだまだ自分の心をいっぱい表現できるご主人
何だか素晴らしいな~と感じました!

さくらさん

こんにちは。

夫の言った言葉で印象に残ったものを、できるだけ書き残しておこうと思っています。
ブログに残すのは印象に残った発言だけですが、日常のほとんどは脈絡不明な話ばかりです。
そういう話はファンタジーとして受け止めれば楽しいかもしれませんがね。なかなか・・・
そういえば、さくらさんのご主人も、お誕生日祝い会でご自宅に戻られた時、ずいぶんたくさん、しゃべっていらしたようですね。

そうですよね。自分の心をいっぱい表現できることのほうにもっと目を向けて、言葉を発掘していきたいと思います。

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アワキビ

Author:アワキビ
夫と2人暮らし。
子どもはいません。
2人と猫2匹の家族です。

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