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家はどこ?

日が傾き始めると、夫の表情が冴えなくなってくる。
「おかしいな・・・」とつぶやき出し時には、もう、あぶない。

 もうここには何度も来ていて、長いこといるよね。

 だって、ここがあなたの家だから、あたりまえだよね。

 夫は「えっ?」と怪訝な顔をする。
 夕ご飯を食べた後、今度は、
 
  ○○駅で、人と会うから、今から出掛ける。

 そんな予定はないでしょ。誰と会うというの?

 誰って、言えないけど、お金の関係だよ。
 会って、解決しなくちゃならないんだ。


 しばらく押し問答。誰かに会うというのは口実で、今いるこの家が自分の家だとは思えないから、
自分の家に帰りたいということが根底にあるのかなあと思う。

 現在の住居は、夫が脳梗塞を発症した半年後の2002年に引っ越してきたもの。
 以来13年にわたり住んできたのに、夫の脳細胞からはこの家が自分の家だという記憶が抜け落ちてしまったのだ。
そして、夫が自発的に思い出せる「自分の家」は、30代前半まで住んでいた家なのだ。

 夫は、外出するために着替えようとしてる。
 長袖のTシャツの上に、フェイクファーのチョッキ着て、さらに半袖のポロシャツを手にもって着ようとしているので、

 ちょっと鏡で見てごらん。それ、おかしくない?

 本当に。おかしいみたい。ご指摘ありがとうございます。

 夫が、私に敬語を使う時は、私を妻だと認識していない時だ。
他人行儀の言葉遣いになる。他人に対する礼節は保持できているということだけど・・・

 自分のバッグの中の財布を確認して、お金が入っていないのを見て・・・

 お金を盗られてしまったらしい。
 ・・・


 私が持っているから大丈夫だよ。

 一緒に行ってもらえますか?

 う~ん。じゃあ、一緒に行こうか。

 夜7時過ぎに家を出る。今日は車椅子ではなく、夫と手を組んでゆっくり徒歩で。

 夫は自宅内の狭い範囲ぐらいは歩けるが、外では歩行困難になる。
足が前に出ない。無理にせかして歩かせようとすると、前のめりになって倒れそうになる。
歩行をストップさせても、そのまま立ち続けることができず、前に倒れそうになってしまう。
 だから通院その他で外出する時は、もっぱら車椅子に夫を乗せて行く。
車は持っていないので、車椅子で、徒歩、バス、地下鉄、電車等を乗り継いでいく。
小雨程度なら二人ともカッパで車椅子で行くが、雨や厳寒・酷暑時期はやむを得ずタクシ-だ。

 でも、今日は、夫の「家に帰りたい。外に出たい」という気持ちを落ち着かせるためなので、車椅子は使わず、ゆっくり夫を支えながら歩く。表通りに出て、通りを渡ったところに喫茶店がある。普通に歩けば5分だけれど、夫と歩くと15分。
 喫茶店の前まで来たときには、夫は既に疲労困憊。

 この喫茶店にはいろうか?

 うん。

 と素直に応じる。珈琲を頼んで、二人でゆっくり飲む。
 喫茶店の窓から外を走るバスが目に入ったようだ。

 ここから家に帰るには、バスに乗るの?

 ううん。歩いて帰れるよ。

 えぇ? そうなの?

 うん。そろそろ帰ろうか。

 喫茶店でトイレを済ませ、マスターに見送られて、喫茶店のドアを開ける。
 外は暗い上に、行き交う自動車のヘッドライトがまぶしく、白内障の夫には周りがよく見えない。
ドアの先の小さな3段ほどの階段を下りる足がおぼつかなく、そのままゆるゆると後ろにひっくり返ってしまった。
スローモーションのように倒れたので、大過なく、マスターに手伝ってもらって夫を起こして、家までの道を二人でトボトボ歩く。
往きよりも更に、ゆっくり、ゆっくり、今にも止まりそうになりながら歩く。5分ぐらいの距離が30分だ。
 家に戻ってくると、夫は「疲れた~」とぐったりしている。
 抑肝散とロゼレム、ネキシウムカプセルを飲ませて、寝かせる。

 その後10時くらいに夫がトイレに起きた時には、笑顔が見られた。
 もう、今日はこれで大丈夫。

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尿失禁と妄想と・・・体調悪化の兆し

 昼食は、車椅子に夫を乗せて、近所の
お気に入りのカフェに行った。

 我が家の近隣は小さな坂が多く、カフェに行くためには、
坂をいちど下り、また、さらにだらだら長い坂を上っていく。

 途中、階段で下りるところでは、夫を車椅子から下ろして、
手すりをつかまりながら歩いて下らせ、
車椅子はサイドについている自転車等のための
スロープの上を転がして下ろす。

 スロープは勾配が急なので、車椅子に夫を乗せたまま
下ろそうとすると、後ろ向きに下りないと危ない。

 短い距離を後ろ向きに下りるのならまだしも、
結構な長いスロープなので、ここのところは夫に歩いてもらう。

 帰りは、この逆で、夫は再び車椅子から下りて、
階段を手すりにつかまりながらゆっくり上り、
私は、車椅子をスロープ上に転がして上がる。

 片道15分程度の距離だが、こうして帰宅すると、
夫はすっかり疲れきってしまっているので、
昼寝をさせる。

 夫は一度起きてきて、しばらくリビングに居たが、
また夕食前まで夕寝。

 暑い夏の寝室は、涼しい1階と決めている。
 (我が家は狭小住宅の3階建てで、冬の間は
暖かい3階で寝る。1階と3階の室温差は5度
ほどにもなる。)

 私は2階のリビング・キッチンでひと仕事。

 夕方になり、夫が起きてきて1階のトイレに
入った音がして、その後、2階のリビングに
上がってきた。

 私は夕食の準備中。
 夫は、調子が良い時は、台所の仕事を
手伝いたそうにのぞき込んでくる。
 そういう時は、野菜の切り方の見本を見せて、
切ってもらったり、
切った野菜を炒めてもらったり、
洗い物をしたりしてもらう。

 どの仕事も、きちんとはできないけれども、
夫は、自分のできる仕事をしたい、役に立ちたいと
いつも思っているので、できそうなことをやってもらう。

 ありがとう。助かったよ~

 と言うと、夫は照れくさそうに、

 そんなの、あたりまえだよ。
 男だから、女だからなんて関係ないんだからね。


 と、呼び鈴が鳴り、宅配便が届いたようだ。
 階段を下りて、1階の玄関へ・・・
 
 玄関のトイレ前の床に
 大きな水たまりが・・・!?


 げ~っ、おしっこ?? だよね・・・

 でも、とにかく先に宅配便を受け取らなくちゃ、

 玄関を開けて、宅配のサインの字もそこそこに、
雑巾・・・がないので、猫用のバスタオルを持ってきて、
吸い取る。

 もう、もう、もう~!!

 夫の寝起きのトイレはいつも気をつけないといけない。
寝起きは、身体が起きておらず、ボーッとしているから、
身体も素早く動かない。

 夜中のトイレを介助している時も、夫は、トイレの室内に
入る前に、ズボンをパンツを脱ぎ出してしまう。

 それを押しとどめて、トイレの室内に入れて、
便器の前で一回転させて、手すりを持たせて立たせ、
ズボンとパンツを脱がし、便座に座らせる。

 このズボンとパンツを脱がしているうち、
もうおしっこが始まってしまうこともある。

 まだ座ってもいない状態で始まってしまうから、
パンツやズボン、果てはトイレの床に
水まきしてしまうことになる。

 たぶん、今日は、こんなふうだ。
 トイレに起きて、トイレの室内に入る前に
ズボンとパンツを下ろしたところで、おしっこが開始。

 一応、トイレの室内には行き、便座を上げて、
おしっこをしたらしい(トイレの床にも小さい水たまり)。

 でも、もう、もう~!
 なんで便器の前に行ってから、
ズボンをおろさないんだよ~

 それに、こんな大きな水たまりをつくっておきながら、
何にも言わないでいるなんて・・・

 と思うけど、
 本人はきっと2階のリビングに上がってくるまでの
間に、これらの出来事をすっかり忘れてしまったのだ。

 だから、夫に文句を言ってみたところで、仕方がない。
 もし、文句を言えば、優しい夫は、
 
 ボクはダメになってしまった! ごめんなさい。
 ボクは悪いんだ・・・

 と、悲しそうな顔で言うのが分かっているから

 仕方がないね。やっぱり、昼寝や夕寝の時も、
トイレに起きた気配があったら、すばやく行って、
介助してやるのがお互いの平和のためだな。

 それにこのような尿失禁がある時は、たいてい
体調がよくない時だ。
 夕食の食欲は通常どおりだったけれども、
くしゃみを何度もして、鼻水を垂らしている。

 その上、夫は「ありがとうございます」を連発する等
丁寧語や敬語が多い話し方になっている。
 こういう時は、たいてい私が妻だと認識できていなくて、
ヘルパーにお世話されていると思っていたりするからなんだ。

 さて、夫の今日の妄想は・・・

 3階に病気の犬が居て、猫がね、看病しているよ!

 え~、犬なんかいないでしょう? 
 うちに居るのは猫だけだよ。


 いや、どこかからこっそり潜り込んできたらしい。

 じゃ、一緒に見に行こうか?

 夫と連れだって3階の部屋へ上がる。

 あれ~? 居ないなあ? おかしいなあ?
 
 失禁に妄想、眉間のしわに、敬語・丁寧語使いが、夫の体調悪化の兆しです。
 夫は、ちょっと熱があるみたい
 私も今日はちょっと喉が痛い。風邪をひいたかな?
 明日は、夫の幼なじみのガールフレンドが2人
我が家に遊びに来る日だ。
 楽しみにしてきたので、明朝、元気で起き上がれるといいな

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一日のうち80%ぐらいが妄想

 青空が広がり、そこはかとなく春の気配が感じられたので、昼食は我が家から一番近くにある食堂…小さな洋食屋さんに行った。
 車椅子を置いて、夫と腕を組んでゆっくりと歩いて10分ぐらいで着く。
 メインはサーモンのフライ。それに小さな海老とスモークしたマッシュポテトのフライ。タルタルソース添え。レタスとキャベツのサラダ。春雨の酢の物。スープとご飯。
 今日はデジカメを持っていかなかったので写真はない。
 お店の奥さんが

  あら? 今日は車椅子がないのね。杖もないの?

  はい。少し暖かくなったから、少し歩かせないと・・・

 今年に入ってから、毎週1回訪問リハビリを入れ始めたが、気のせいか、気候のせいか、夫を支えて歩行するのが少しラクになった感じ。
 調子が悪かった時の歩行は、夫はぐっと力を入れて身体を固くして、私の腕や手に寄りかかってくるので、倒れないように支えて歩くのが大変だった。

 昼食後、帰宅し、家でゴロゴロ休んでいた。
 夫も眠いと言ってソファで居眠りしていた。
 その後、目を覚ますと、落ち着きなく家の中を歩き回り、ごろ寝している私を見下ろして、

  あと1時間ぐらいしたら、妻が来るからね

  え~、何言っているの? 私が妻じゃない? 他に妻がいるの?

  まあ、キミがそう言うんだったら仕方ないけど・・・
  キミ、逃げた方がいいよ。


  w( ̄o ̄)w

 皆さん、こういう場合は、どう対応したらよいのでしょうかね?

 認知症の人の言うことは否定せずに、適当に合わせて、穏やかに、その場を乗り切れば、何とかなる・・の?かな?
 こんなふうな場合、この後の、妄想物語を、どうつないで、会話をしていったら良いのだろう?

 で、私の場合は、
 「あなたの言っていることは間違っている!
 ときっちり否定。(こういう対応は、いけませんかね?

 「私が妻なんだよ」・・・と写真などを見せながら、
 「ほら、これが証拠!」と順々に話していく。

 すると、夫は「ああ、そうだった~。良かった。安心しました。
 と一応(?)ご納得の様子。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 昼食がちょっと重かったので、夕食は8時半頃から。
 その後、テレビのニュースを見ていると、夫がテレビを指さして、

  ボクが出てるよ。

  えっ? これはなでしこジャパンの選手だよ。
  あなたじゃないよ。


  この後にボクが出るんだよ。
  今、カメラで撮影していて、テレビに出るんだ。
  そこに来ているはずだけど?


 とリビングの部屋のドアの向こう側を気にして、立ち上がり、ドアを開ける。

   あれ? おかしいな。どこに行ったのかな?

 入浴中も、「テレビの撮影の人がもうすぐ来るから・・・」と言っている。

 入浴後、私が3階で布団の用意をしていると、夫が1階に下りていき、玄関のドアを開ける音がしたので、慌てて1階へ下りて行く。

 夫はもう玄関の外に出ている。
 1階の部屋の窓から夫の様子を見ると、玄関の外で、表通りの方をじっと見ている。
 と・・・玄関のセンサーライトが消え(一定時間が経つと自動的に消灯)、夫の居た場所が突然真っ暗になったため、それに驚いた夫が転びそうに・・・
 慌てて、私が再点灯させて、夫を玄関の中に呼び入れる。

   どうしたの? なんで外へ出ているの?

   人が呼びに来たから、出たんだよ。
   「来て!」って呼びにきたんだよ。


   ほう? それは、お迎えに来たわけ?

   うん。

   誰かが「●●(夫の名前)、早く天国へ来て」って、
   お迎えに来たんですか


   死んで、天上へ行くってこと?  違う、違う!

  ・・・違うんだったら、もう早く寝ましょう。
  布団を敷きましたよ。


゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 今日は一日のうち80%ぐらいが妄想でできている日でした。


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「認知機能の変動」に翻弄される

 夫は一日のうちで「認知機能」の状態がいろいろ変動するのです。
 昨日も夫の「認知機能の変動」に翻弄された一日でした。

 でも、私が使う「認知機能の変動」は通常の使い方と少し違うな。
 「夫が私のことを正しく認知しているかどうか」という意味で使っています。
 何が悲しいかって、夫が私のことをわからない時が何とも辛いのです。
 今居るところが自分の家でないと思ったって、それも耐えられる。
 けれども、目の前に居る私が誰かが分からない、誰か他の人だと思われる・・・ことに遭遇すると落ち込みます。

 夫の「認知機能」は、たいていは朝起きた時が一番良い。マシというべきか・・・
 目が覚めて私の顔を見つけると、

  「スキ! ダ~イスキ。セカイデ イチバン スキ!」

 と言います。
 昭和6年生まれの日本男児が、妻に対してそんなことを言うものか?と異和感を覚えるかもしれませんが、認知症になる前から夫は、「好き」「愛している」「ありがとう」を口に出して言う人でした。どちらかというと欧米人の感覚に近いと思います。
 そして、朝食を食べ終わった後、夫はニコニコしながら、

 「・・・子ども、作りましょうね! いいでしょ?」

 「はい、はい、そうしましょうね」

 「今日はどういう予定?
  これから(ボクの)両親のところへ(挨拶に)行きましょう!」

 この時、私は夫の恋人で、夫は私を両親に紹介しようとしています。私は、

 「お誘いはとっても嬉しいけど、でも、あなたのお父さんもお母さんも亡くなっているでしょう?」

 「えぇ? そんなことないよ。お母さんはまだ生きているはず・・・」
 (この時点で、お父さんは、もう死んでいるかもと思ったようだ。)

 「ねぇ、今、(年齢は)いくつ?」

 「う~ん、50歳・・・ぐらいかな?」

 「今、八四歳だよ。84」

 「え~と、そうだっけ? 84だったかな?」

 「お母さんが、●●(夫の名)を生んだのは、お母さんが24歳の時だよ。
  もし、お母さんが生きていたら、84+24=108歳になるでしょ?
  普通はもう生きていないでしょう?」

 「そうかあ・・・」
(似たような会話の兄弟姉妹バージョンもよくあり。)

 昼食後、夫も私もこたつに入って、ウトウト眠くなりごろ寝している間に、夫の認知機能が悪化してくる。
 夫が先に起き出して、ガチャガチャ食器を片付けている音を、夢うつつで聞いていた。 食器だけではなく、テーブルの上に置かれている様々な物を、夫はお片付け(あとでいろいろな物の所在が分からなくなり、探すのに一苦労)。
 1階の玄関のドアをガラガラと開ける音で、ハッとして目が覚めた。
 夫が外へ出て行こうとしている!
 慌てて階下へ下りて行くと、夫がデイサービス用の手提げ袋を持って、帽子を被り、出掛けようとしている。服は室内用のまま。介護用ズボンの下にモモシキも履いていないから、外では寒いはず。
 私は、つい、夫が手にしている手提げ袋をひったくって取り上げ、

 「どこへ行くの?」とやってしまった。

 ひったくって取り上げたのがマズかった。
 夫はムキになって取り返し(当たり前の反応だよなあ・・・)、

 「友達に会いに出掛けてくる!」

 「そんな約束はないでしょ?」

 「また、戻ってくるから・・・」

 と言って、外へ出てしまった。
 後を追って出る。(「あ~、しまった。ケータイも財布も持って来てない」)
 夫は今はもう大して歩けないので、家の前からせいぜい10メートルぐらいのところで、押し問答。

 「あなた、私が誰だか分かっている?」

 「妹でしょ。」

 「違う、妹じゃないよ! あなたの妻だよ!」

 「えぇ? 違うよ!」

 (そうだよね。こんな三角眼で、威張って、指図するような態度の人が妻だなんて思えないのはもっともだ。心の隅でそう思いはするものの、感情を抑えることができず、)

 「もう、いい! 好きなようにすれば! もう、知らないから!」

 と言って、自宅に向かって歩き出すと、夫も後ろからトボトボと着いてくる。

 「車が来ないから、もう、行くのを止めにする。」

 家の中に入ってからも、私のモヤモヤとした気持ちが治まらず、夫に意地悪をしたくなって、今度は、私自身が帽子を被り、リュックに財布とケータイを入れて出掛ける格好をして(近くのマーケットに買い物にでも行って頭を冷やして来よう)、ソファに座っている夫に、

 「じゃあ、さようなら!」

 「えっ? 出掛けるの?」

 「うん、さようなら」

 「行っちゃうの?・・・それじゃあ、仕方がないね。」

 「そう、じゃあ、さようなら!」

 と言って、階段を下りて行くと、夫が2階のベランダのドアを開ける音がする。
 私が、玄関のドアを開けて、外へ出て行くと、夫が2階のベランダのドアを開けて、私を見下ろして、手を振って、

 「ボク、泣いてる。泣いてるよ~」

 そして、ベランダの手すりのところまで出てきた。
 「泣いてる」って・・・、泣かしちゃった~。
 それにベランダから落ちやしないか?
 心配になって、慌てて自宅に戻り、2階に上がって行った。

 「もう、行かないから。家に居るからね。」

 本当に、なんて馬鹿な芝居を二人でやっているんだろうと、皆さん、お思いでしょうが・・・

 山田洋次監督の『家族はつらいよ』の新聞広告?で、上野千鶴子さんが、

 「やっぱり、夫は、年をとって(介護が必要になった時に)、妻に世話をしてもらいたかったら、可愛くなくちゃね。」

 という趣旨のことを言っていて、私も「そう、そう!」と同感しています。
 (これは上野千鶴子さんの発言そのものではなく、あくまでも私がそういう趣旨だろう理解したということですが。)

 よく病院とかで、車椅子に乗っていたり、杖をついたりして病気持ちらしい老夫が、付き添ってきている老妻を「何やってんだよ!」等と口汚くガミガミと叱っており、老妻がそれに黙って耐えている様子を見たりするのですが、病気がそのようにさせている面もあるのでしょうが、女の立場からすると、どうしても、割り切れない、嫌な気持ちになってしまう。

 うちの夫は奇特な人なんだと思う。
 何があっても、絶対に、私のことを叱りつけたりしない。
 私がへそを曲げて、二人の間が険悪な状態になっても、必ず夫の方から「ボクが悪かった。」と謝ってくれる。
 認知症になっても、そこはまったく変わらない。
 そして、とても「可愛い人」(顔かたちではありません、念のため。心が可愛い人)なので、ついついほだされちゃうのです。

 夫の可愛さにほだされて、ハッピーエンドと思いきや、さらにまた夕食後、今度は、私のことを、他のガールフレンド(私の友人でもある)だと思って、名前を間違って言ってくれる。
 しかも、そのガールフレンドの旧姓でフルネームを言うんだよね。
 私の名前は忘れちゃっているのになあ。プンプン
 でも、最後は「ボクが悪かった。ゴメンナサイ」って。

 毎日毎日、そんなことの繰り返し。

 天気が優れず、一日中家に籠もっているような日に、とりわけ「認知機能の変動」が激しいように感じる。
 それは天候(気圧とか?)の影響もあるのか、はたまた別の理由なのか分からないけれども、外出している時や来客がある時の方が夫の「認知機能」は良いみたい。


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手鏡カバーに食らいついた (*゚Q゚*)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

今、午前11時になろうとしていますが、夫はまだ起きてこない。
一度午前7時くらいにトイレに起きて、いったん寝かせて、リビングの暖房やコタツをつけ、朝の薬+サプリメントを服薬ゼリーに混ぜて、夫が寝ているところに持っていき、寝たままで服薬。
服薬ゼリーはとてもすぐれもので、水で飲むのと違い、寝た状態で飲んでも、むせたりせずに、すんなり飲み込めます。コツは服薬ゼリーを多めに使うことかな。
最初の頃は要領がわからず、少量のゼリーに薬を混ぜて飲ませていたら、薬だけ口の中に残ってしまい、「なんだ~?」と思っていたが、ゼリーの量を多くしたら、こんなに飲ませやすいものはない・・というのが実感。

あ~、昨晩、夫は私につきあって紅白歌合戦を最後まで見て、その後、年が明けてから、お風呂に一緒に入って、床に就いたのが午前1時をまわっていた。なので、案の定、今朝は起きられません。
元旦は夫を連れて私の実家へ行くつもりだったけれども、予定を変更して、今日は(今日も)のんびり家にいよう。

大晦日の朝食。自家製甘酒+無調整豆乳(1:1の割合)で、一口大に切ったバナナを煮たバナナを食べました。いつもはヨーグルトにバナナをかけて冷たいまま食べるのだけど、こう寒いと、温かい朝食が食べたくなったので。
食べ終わった後、ふと、夫を見ると、手に持って何か食べている。
何?
テーブルの上に置いてあった下の写真の手鏡のカバーを、一所懸命、囓っているところだった!
IMG_9664.jpg
この手鏡、うちの実家に放置されていたのをもらってきたのだが、某県警のマスコットキャラクター(鳥なのか?)がフワフワのクッションが入って立体的に縫い付けてあり、裏側には「●●県警察」(!? 県警がこんなものを配付しているのかっ・・・)と刺繍が施されている。
なんでしょう? ぺろぺろキャンディーみたいなものだと思ったのか、
なんだかやわらかくて美味しそうだと思ったのか、ど~して?
「あっ、これは食べ物ではないでしょ。ダメだよ~」と、慌てて取り上げた。
本人は、「え~?」っと、ちょっと納得がいかない顔をしている。
もう少し何か食べたいのかなあ~と、追加でリンゴを小さく切って炒めて(焼きリンゴ)ヨーグルトをかけたものを食べさせた。

これが話に聞いていた「異食」という現象なのか。
口唇傾向が強まっているようだ。
テーブルの上に下手なものを置いておけない。
注意しなくちゃ・・・

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プロフィール

アワキビ

Author:アワキビ
夫と2人暮らし。
子どもはいません。
2人と猫2匹の家族です。

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