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認知症の診断を受け、公正証書遺言を作成する

 今から9年前の2006年、夫がアルツハイマーと診断されたごく初期の頃のことですが、夫は公正証書遺言を作成しました。

 以前から、公正証書遺言を作らねばならないと考えていました。
 というのも、私たち夫婦には子どもがいないからです。

 子どもがいない夫婦の場合の法定相続割合は、親が健在かどうかで変わってきますが、両親が既に死亡している場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
 夫の場合、両親が同じ弟妹が5人と、異母妹が1人の6人です。
 弟妹は遠方に住んでいる者も多く、異母妹は会ったこともありませんが、遺言書がなかった場合、これらの弟妹、異母妹も含めて全員と遺産分割協議をしないと、夫婦共有の自宅の名義も書き換えられないし、預貯金を下ろすこともできません。
 この事務手続きだけでもとても大変な作業となります。

 夫は弟や妹たちと関係は決して悪くありません。
 今持っている不動産も親から相続や贈与されたものではなく、自分たちの力で築いたものです。
 だから、万一の時には、相続割合はゼロでいいよと言ってくれるかもしれません。
 けれども、いざとなれば、その時の経済状態によっては、「法定相続分はもらいたい」と言うかもしれません。異母妹については、どんな人かもわかりません。

 最も大きな問題は、自宅不動産の夫の持分のうちの4分の1について弟妹にも権利があるとなると、自宅に住み続けたい場合は、不動産の価値の4分の1を代償金で支払わねばなりませんが、それだけの預貯金がない可能性が大きいからです。
 代償金が支払えないならば、分割払いか、あるいは、最悪、自宅を売却してお金に換えて支払わねばならないかもしれません。

 遺言には、自筆証書遺言もありますが、自筆で書くものもありますが、いろいろ書き方の要式が厳しく、間違った要式になっていると、せっかくの遺言が役に立たないということになりかねません。
 また自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」の手続きを経なければならず、相続人全員を家庭裁判所に呼び出して、相続人らの前で、遺言書を開封しなければならない・・・等、結構、煩わしいものがあります。

 やはり、公正証書遺言を作成するのが一番安全で確実です。

 公正証書遺言は、公証役場に、遺言者本人と証人2名で出向き、公証人が、遺言者本人の意思の確認を行います。

 通常は、公証役場に、公正証書遺言を作成したいと連絡をして、日時を予約します。

 当日の前に、遺言書(案)を公証役場にFAXやメールで送り、遺言書の書き方や要式等のチェックをしてもらい、修正等をします。

 遺言書をチェックするために、あらかじめFAXなどで公証役場に送っておくものは、

 1.推定相続人が分かる戸籍謄本等一式
 2.不動産の登記簿謄本
 3.印鑑証明書(遺言者の住所確認)

 さらに、公証人への報酬金の額は、相続財産の額によって決まるので、

 1.預貯金額の概算
 2.不動産の固定資産税評価証明書

 遺言当日の持ち物は、
  1.遺言者本人: 実印、印鑑証明書の2点
  2.証人:    印鑑(認め印でよい)。
           公証役場によっては、証人の生年月日や住所のわかる
           公的な身分証明書も必要。

 夫の場合、遺言書の内容については、ものの本に掲載されている遺言書の「ひながた」を参考に作りました。遺言執行者は妻(私)を指定しました。

 大事なことは、財産を渡す相手が推定相続人である時は「相続させる」と書くことです。
 間違って「遺贈する」と書いてしまうと、贈与税がかかってしまうので要注意です。

 夫はアルツハイマーと診断を受けた後に、公正証書遺言を作成していますが、この頃は、短期記憶障害程度であったので、自分の意思を表明することにも、自分の名前を署名することにも問題ありませんでした。

 公証人は、どのような内容の遺言をしたいのかを、遺言者本人の口から言わせるようにして、確認をしますので、ここをきちんと言えないと公正証書遺言を作成するのは困難と思われます。(「妻に全財産をあげたいのですか?」というような誘導の質問はしてくれないと思って下さい。)

 また、遺言者本人が、病院に入院している場合、公証人が病院まで出張して公正証書遺言を作成することもできますが、この場合は、あらかじめ医師の診断書の提出が必要になります。遺言者本人が遺言する能力があるかどうかを確認するためです。
 ですので、認知症と診断を受けている人が、病院内で公正証書遺言を作成するのは、かなりハードルが高いと言えます。

■認知症と診断されている人が公正証書遺言を作成する場合のポイント

 以下の3点をクリアできるうちに、急いで実行することをお勧めします。

  1.公証役場まで本人が出向くことができること(車椅子だっていい)

  2.自分の口から、誰に何をあげたいのかを言えること
(複雑なものではムリ。
 「全財産を妻へあげたい」と言うようなシンプルな内容なら可能かと思う)

3.署名を自分で書けること
  (最悪、自分の名前が書けなくても、口頭で自分の意思をはっきり述べられれば大丈夫かと。世の中には文盲の人もいるわけだし。公証人が、本人が文字が書けない旨記載して、代わりに署名している公正証書を見たことがある。)

■公正証書遺言の証人をどうするか

 当初、私の親族2人を証人にと考えていましたが、財産をもらう人の親族は証人にはなれないと言われました。
 そこで、夫の友人に証人を依頼しましたが、これが意外というか、皆さん「証人」と聞いて、「自分にはそんな難しいことはできない」と言って断られること数人。最終的には、夫の幼馴染みと好奇心旺盛な若い人の二人に引き受けていただけましたが。
 「証人」は、別に、遺言の内容そのものをずっと覚えていなければならないとか、そんな大それたことを求められているわけではないのですが。ただ、公証人が遺言者にその意思を確認する場に同席して、一緒に聞いていればよいだけです。そして、最後に、遺言書に自分の署名・捺印をする。ただ、それだけです。
 夫の場合は、自分で証人2人を用意しましたが、もし、弁護士等に遺言書の文案を作ってもらう場合は、その弁護士と弁護士事務所の事務員が証人になることも多いと思います。

■預貯金について

 不動産については、指定された遺言執行者(または遺言執行者から委任された司法書士等)が公正証書遺言を法務局に持っていけば、名義変更の手続きはできます。

 ところが、金融機関の預貯金については、不当なことに、公正証書遺言書を示しても、金融機関は払い出しに応じないのです。たぶん、どの金融機関も例外なく、そのような運用をしていると思います。
 公正証書遺言書があっても、相続人全員の実印と印鑑証明書の添付が必要だと言って譲りません。
 これでは何のために公正証書遺言を作ったのか、まったく意味がありませんよね。

 あらためて相続人全員の実印や印鑑証明書をもらえない場合は(中には行方不明になっているため、もらえない場合だってあるのにね)、その金融機関を被告として裁判を起こすしかありません。
 これでは、とても大変です。費用もかかってしまいます。

 で、結局、どうするかというと、預貯金については、公正証書遺言があっても、すんなりおろせない以上、もう、遺された者が自分で下ろせるように考えて準備をしておくしかないんです。例えば、

 1.取引銀行はできるだけ少ない数に絞っておく
 2.定期預金にはせずに、全部、普通預金にしてカードで下ろせるようにしておく
 3.ネット銀行を上手に利用する
 
 これらの方法は資産のたくさんある人には向きませんが、一般庶民の我が家などは、これで十分対応できるかなと思います。

 なお、私は法律の専門家ではありません。ただ、法律事務所で数年間働いた私の経験をもとに、私が学んだことを書きました。
 中には間違っているところがあるかもしれませんので、公正証書遺言の作成が必要な人はそれぞれの専門家に確認をして進めてください。
 今回は、公正証書遺言を作成しておいた方がよいケースなのに、まだ踏み切れていない人への参考になるようにと思い、書きました。

 わが夫、圧迫骨折で入院13日目。
 ベッドから起こすこと、車椅子からトイレやシャワーチェアへの移乗等の介助が日に日に楽になってきている。
 自分の足だけで立ったり、歩くのは、まだ難しいようだが、伝い歩きはできるようになってきた。

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遺言書を作りたい

夫が退院して1週間後に、友人二人が来宅した。
2ヶ月ぐらい前からの約束だ。
夫が入院した時に、友人二人に伝えるか迷ったけれども、約束の日の前に退院できなかったら、連絡すればいいやと考え、無事、退院できた。

この二人(女性)は、夫の35年来の友人だ。
私と二人の付き合いは、10年ぐらい前から。
夫が認知症になって、一人での外出が難しくなったため、夫が外出する時や夫の付き合いの場には必ず同行するようになった。
顔の広い夫を介して、私にも沢山の友人ができたが、その中でも彼女たち二人とは特に親しくなった。

四人で一緒に温泉旅行に行ったり、上京した際には我が家に泊まりに来たり、逆に泊まりにいったり年に1~2回ぐらいの付き合い。

彼女たちはお互いが人生のパートナーだ。
最近の言葉で言うと「LGBT」だけど、二人とも定年退職して、自分達の行く末を考える年齢になった。

夫は、二人が訪ねてくると知って、その日、夫はとても楽しみに待っていた。

さて、二人の来宅の今回のテーマは、「相続」と「遺言書の作成」についての相談だった。

まず、家族関係から法定相続分がどういう割合になっているのかを確認した。

二人は人生のパートナーだけれども、現在の法律でその関係が守られているわけではない。
どんなに一緒に生活を共にしてきても、もし、死亡した場合は、お互いに相続することができない。
自分が死んだ後、ほとんど関係がないのに、血縁だというだけで、甥や姪に自分の財産が行ってしまうのが納得できないので、遺言書を作成したいというわけだ。

私たちには、10年前、夫が初期の認知症だとわかった時に、すぐに公正証書遺言を作成してもらった経験がある。
実際の公正証書がどのようなものか、どのような文言が入るのか等、現物を見せて、イメージづくり。
相談の中で、親に遺言書を作成してもらうことの方が急ぎの課題だとわかり、まずはそこから手をつけてもらい、自分の遺言書について追々考えていくことに。

夫は二人との会話の内容が難解すぎて、ほとんど口をはさまず、黙って静かにしていた。
二人を玄関先まで見送って、リビングに戻った私。
夫は、ホワイトボードに残る「今日の予定 ●●さんと▲▲さん 来宅」の文字を見ている。「いつ来るの? 明日来るの?」と。
「さっき来て、一緒に夕食を食べて、おしゃべりしていたじゃない。ほら」
と、四人で撮ったデジタルカメラの写真を夫に見せる。
「ほんとだ~。楽しかった?」
「うん、楽しかったよ、ね?」
「・・・・」

せつないなあ (´;ω;`)
二人が来るのをあんなに楽しみにしていたのに・・・

もう四人で楽しくおしゃべりすることはできないのか。
テーマをもっと絞れば、まだ、おしゃべりできるのか?
私と二人でも話がなかなか成立しないことも多くなってきたから、友人たちを交えて楽しく会話をするというのは、ほんとうに難しくなってきた。

でも、友人たちとの付き合いを、まだ、あきらめるつもりはないよ。

☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆

私にも子どもがいないので、いずれ、どこかの時点で、公正証書遺言を作っておかねばと思っている。

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Author:アワキビ
夫と2人暮らし。
子どもはいません。
2人と猫2匹の家族です。

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